音楽療法で認知症ケア

認知症の進行を遅らせたり、症状の改善を図る方法の一つとして「音楽療法」が注目されています。音楽は単なる娯楽にとどまらず、脳の働きを活性化し、記憶や感情を呼び覚ます力を持っています。そのため、認知症の方にとっても、音楽を上手に取り入れることで生活の質（QOL）の向上が期待できます。

本記事では、音楽療法の具体的な効果や方法、実際に取り入れる際のポイントに
ついて詳しく解説します。

■音楽療法とは？

音楽療法とは、音楽を活用して心と体の健康を促進する療法のことです。特に認知症の方に対しては、以下のようなメリットがあります。

＜1.記憶の活性化＞

＜2.感情の安定とストレス軽減＞

＜3.コミュニケーションの促進＞

＜4.運動機能の向上とリズム感の刺激＞

■音楽療法の具体的な活用方法

1. 懐かしい音楽を聴く
   認知症の方は、最近の出来事を忘れやすくても、昔の記憶は比較的残っていることが多いです。そのため、若い頃に流行した歌謡曲や、結婚式・旅行などの思い出の曲を聴くと、過去の記憶がよみがえりやすくなります。
   • 本人の好きだった曲をリストアップし、プレイリストを作る
   • 家族や介護者が一緒に聴いて、「この曲、昔よく聴いたね！」と話しかける
   • 映画音楽や童謡など、親しみやすい曲を選ぶ
2. 歌を歌う
   歌を歌うことは、記憶の刺激だけでなく、呼吸機能や発声機能の維持にもつながります。歌詞を思い出そうとすることで、脳の働きも活発になります。
   • 歌詞カードを見ながら一緒に歌う
   • 音楽番組やカラオケを活用し、楽しく歌う時間を作る
   • 簡単な手拍子やジェスチャーを取り入れる
3. 楽器を演奏する
   楽器を演奏することは、指先を動かすため脳の活性化に役立ちます。また、リズムに合わせて体を動かすことで、運動機能の維持にもつながります。
   • 簡単な楽器（タンバリン、鈴、カスタネット）を使う
   • ピアノやハーモニカなど、過去に演奏経験がある楽器を再び挑戦してみる
   • 手作り楽器（ペットボトルのマラカスなど）を活用する
4. 音楽に合わせて体を動かす
   リズムに合わせて体を動かすことで、転倒予防や筋力維持に役立ちます。また、音楽に合わせた運動は、楽しく取り組めるため、運動習慣の定着にもつながります。
   • 曲に合わせて簡単なステップを踏む
   • 手拍子や指の体操を取り入れる
   • 音楽に合わせてゆっくり体を伸ばすストレッチを行う

■音楽療法を実践する際のポイント

1. 本人の好きな音楽を選ぶ
   嫌いな音楽や興味のない曲は逆にストレスになることがあります。家族や介護者が本人の好きな曲をリストアップしておくとよいでしょう。
2. 無理のない範囲で行う
   長時間の音楽療法は疲れてしまうことがあるため、1回10〜15分程度から始めるのがおすすめです。
3. 一緒に楽しむことが大切
   音楽は「聞かせる」だけではなく、「一緒に楽しむ」ことが大切です。家族や介護者も一緒に歌ったり、手拍子をしたりすることで、より良い効果が期待できます。
4. 日常生活の中に取り入れる
   特別な時間を作らなくても、食事の時間やリラックスタイムにBGMとして流すだけでも効果があります。

■音楽の力で心豊かな時間を

音楽には、言葉を超えて心に響く力があります。認知症の方にとって、音楽は単なる楽しみだけでなく、記憶をよみがえらせたり、心を落ち着かせたりする大切なツールとなります。ご家族や介護者の方も、ぜひ音楽を取り入れて、楽しい時間を過ごしてみてください。

バイタリでの取り組み

当院では「高齢者の身体機能の維持・回復を目指す機能改善メソッド」を取り入れた施術を行い、音楽療法の効果がより高まるようサポートしています。
リハビリやトレーニングを組み合わせることで、音楽に合わせて体を動かしやすくなり、ご自身で体勢を変える動作もスムーズになります。そうした身体機能の改善が、音楽をより楽しみ、心地よく反応できる状態づくりにつながります。
音楽療法による感情の安定や記憶の刺激といった効果も高まり、患者様がより快適に日常生活を送れるよう支援しています！